ペットの歯石除去

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ペットと暮らす

フェレット歯槽膿漏【歯石除去した話】無麻酔施術は違法なのか?お家でできるお口ケア

2023年6月29日

定期的に話題にあがる「ペットの歯石除去」のお話。

何年前だったでしょうか、「日本初!ペットの歯科衛生士(ペットオーラルハイジニスト)の資格!」というものが急に「できた!」と聞き、動物関係の資格には何でも興味がある私はすぐにその資料を取り寄せました。

その資格は、無麻酔での歯石除去の先駆者 USA コロラド州公認 Well Animal Institute という場所から認定された資格者がその資格を与えてくれるというシステムのようで、「犬の歯科衛生士(ドッグデンタルハイジニスト)として独立開業までサポートする日本初のスクールです!」とありました。

(結局、この資格はどこで通用する(就職する時などに優位に働く)ものなのだろうか…?)という素朴な疑問を抱きつつ、それを解消する努力をしないままいつの間にかすっかり忘れていましたが、気が付いたら「民間資格」としてその扱いが広がっていて、度々、「科学的根拠に基づかない治療である」「有害事象が多発している」として、って、それは皆さんが目にしている通りです。

今と違って一昔前まで、ペットの歯石除去って一般的では無かったんです。

若い皆さまにはピンとこないかもですが、人へのそれだってほんの数十年前からなんですよ。

昔は歯肉炎や歯槽膿漏などの「治療の一部として」行われる行為だったから、当然、麻酔をかけて行う「医療行為」として獣医さんしか出来なかったんです。

でもだからって、じゃあ、麻酔をかけないで行うなら医療行為じゃないから誰でもやって良いんじゃん!って事でもなくてですね…

無麻酔歯石取り(獣医師じゃない人が動物病院ではない施設でする行為)について

  • 無麻酔による動物への恐怖やストレス、PTSDなどをふまえて動物愛護法違反(環境省)
  • 獣医歯科学上、歯科治療として効果のある歯石除去は「医療行為」の為、獣医師でないものによるそれは獣医師法違反(農林水産省)

2023年6月現在まで、「獣医歯科学上、歯科治療として効果のある歯石除去」について、日本の法律では「それをして良いのは獣医師だけ」に変更はありません。

時々、「違法行為なのか?」「違法行為が堂々とまかり通ってるのはなぜだ!」「ペットショップが堂々とサービスとして提供しているんだから違法行為のわけがない!!」等々ってお問合せがきますが、私もそこら辺の法律事情はよく分かりません。

ので、ちょっと調べた結果

「歯石除去」は獣医療行為とみなされる可能性があるため、「歯石ケア」「お口クリーニング」などと、歯石除去という名称を使わずに行われている脱法行為である(違法の扱いには現時点ではならない)

これすなわち、現行上では、治療として効果のない歯石除去なら獣医じゃなくてもやって良いって解釈もできるね。

等とありましたので、現在のなんかこうハッキリしない状況は、複雑な大人の事情があるんでしょうねって、これを返信とさせて頂きます。

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フェレットが歯槽膿漏で歯石除去の話

さすけは今年の5月で6才になったのですが、実は3才の時にも一度、歯石除去をしてもらっています。

3才の検診で「ちょっと歯石が溜まり過ぎています。このままでは歯槽膿漏や歯肉炎になっちゃうから今のうちにやってしまいましょう」という事でお願いをしました。

同じものを食べ、同じようにケアをしているのに、2才年上のえるちゃん(当時)は「綺麗な歯をしてますね」と褒められました。

さすけは「歯石が溜まりやすい体質なんだと思います」とのことで、だからそれ以降、さすけは特に念入りにケアをしてきたつもりでしたが、ある日こんな風に

歯槽膿漏で顔が腫れたフェレット

ほっぺたがプクっと腫れていることに気が付いて、急いで病院へ行きました。

歯槽膿漏で顔が腫れたフェレット

痛そうで私はそれをしながら写真を撮ることが出来なかったので、その写真はありませんが、獣医さんが唇をめくって見せてくれたさすけの歯茎には大きな膿の袋(歯根嚢胞/膿瘍)ができていました。

参考
フェレットの顔が腫れた!歯髄炎とは?歯根膿瘍とは?下顎骨折の原因が歯槽膿漏?
フェレットの顔が腫れた!歯髄炎とは?歯根膿瘍とは?下顎骨折の原因が歯槽膿漏?

はじめに… 今日のアイキャッチ画像は、うちのワサビ君です。 犬歯の欠損はありましたが、歯髄炎の症状はなく、気付いた時には歯根膿瘍で、一度は治まったその症状と再び同じ症状が出た時には、下顎の骨が折れた状

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とりあえずの処置として、注射と毎日の飲み薬で顔の腫れ(膿の袋)はひきましたが、さすけの歯茎はこんな風にもう

フェレットの歯槽膿漏

『フェレット歯肉炎』とか『炎症を起こしてる歯ぐき』とかって教科書に載っているのと同じ状態になっていました

その時、さすけは、まだ5才「歯石をとって、しっかり治してあげましょう」って、まだまだ元気でいてもらうために2回目の手術をお願いしました。

無麻酔での歯石除去と医療行為の違い

「無麻酔の方が良い(メリット)」としてあげられている理由に「全身麻酔によるリスクが無い」ってよく見るのですが、無麻酔でやる時って大概の場所で「めっちゃ押さえつけて」やるんです。

もちろん全身麻酔に「絶対大丈夫な保証」はありませんが、「麻酔薬による致死率は重症例の犬・猫で0.4%程度、軽症例ではさらに低い」と大学病院から症例レポートがでています。

無麻酔歯石除去で押さえつけられたことによる骨折や窒息死の例もあります。

ぜひ一度これを機に「どちらの方が安全か」は冷静にお考え頂けたらと思います。

また、無麻酔歯石除去と医療行為によるそれとでは、出来ること(してる事)が全く違うことはご存じでしょうか?

獣医療行為の歯石除去

獣医歯科学上の歯科治療として行われる歯石除去は、

  1. プロービング(口腔内の詳しい検査:歯周ポケットの深さや根分岐部病変のチェックなど)
  2. スケーリング(歯面に付着した歯石の除去)
  3. ルートプレーニング(歯周ポケット内(セメント質部分)の掃除:痛みのある処置なので麻酔無しでは出来ない)
  4. キュレッタージ(歯周ポケット内(更に奥)の掃除:強い痛みがある処置なので以下同文)
  5. ポリッシング(研磨剤で歯面を滑らかにして歯垢を付着しにくくする処置)
  6. など

3,4,は必要がない子には必須の処置ではありません。が、動物病院で何かしらの処置が必要だとされる場合には大半が重度の歯周病などでそうなっているわけですから、大体の子に必要な処置です。

上記でお分かりの通り、無麻酔では「2」しか行えません。

歯の表面(見えてる部分)に付着した歯石のみの除去なので、歯周病などの根本的な解決には至らない(獣医学的に治療・予防効果がない)施術となります。

一つ言い忘れましたが、今日のこの記事は、獣医さん側から聞いたお話のみを元にして書いています。

さすけは2回とも獣医さんにその施術をしてもらっています。

なので、どうしても「無麻酔歯石除去」については、多くの獣医さん達から発せられているその危険性についての情報の方が多くなってしまいますので、これ以上のお話は、こちら『日本小動物歯科研究会:無麻酔下での歯石除去の危険性、歯科処置の危険性』で、それぞれ皆さまがご確認頂けたらと思います。

歯石除去の金額

これは、動物病院によってバラつきがあります。

もちろん手術ですから、その子の状態によって手術内容が変わりますので、その差は当たり前です。

さすけも1回目と2回目は多少違ったような気がします。

から、ハッキリ「いくらです」とは言えませんが、聞く限りの相場は大体、3万円~7万円くらいです。

参考までに

歯石除去の金額

大切なのは歯石がつかないようにすること

歯石除去したフェレット

熟れすぎたトマトのように真っ赤でグチュグチュだった歯茎が綺麗なピンクに戻り、歯もツルツルの真っ白です。

あの日、手術の後、先生に「頑張ってカリカリを食べようね」って言われました。

我が家で何を食べさせているのかを話したことは無いのに、そう言われた事に驚いて聞いてみると、「カリカリを食べている子にももちろん多少の歯石は付きますが、ふやかしだけの子に比べるとその付着は少ないし、こんな風に歯周病などにまでなる事は滅多にないから」って、おっしゃっていました。

なるほど。確かに我が家はカリカリご飯ではありません。

が、先ほども書いたように、我が家は「全員、同じもの」を食べています。

ので、やっぱり、さすけは「歯石が付きやすく、歯周病などになりやすい体質」である事が一番の原因だと思います(今は頑張ってカリカリご飯も食べるようにしています)ので、今まであちこちから聞いてきた「お家でできるお口ケア」を参考までにちょっと書かせて頂いておこうと思います。

お家で出来るお口のケア

歯磨きガムなどのオヤツを与えるのも良いのかもしれませんが、さすけは歯石が付きやすい子だからか、一度目の手術の後からあげるようにしていたけど、その効果はあまりありませんでした。

えるちゃんやもえちゃんには効果があったのかなとは思います。

病院では「一番良いのはたっぷりのお水で流すことですね」って、大きなシリンジをだしてもらいました。

我が家ではそれに歯磨きを追加しました。

これは獣医さんからの指示ではなく、私の自己満足でです。(しかも時々だけ)

色々と高い小動物用とかも売られていますが、我が家ではどこででも買える0ー3才児用のアンパンマンの歯ブラシ(120円くらいの)か歯間ブラシをアマゾンセールの時とかに超まとめて買って使っています。

「スケーラー」も市販されています(我が家にもあります)が、動物学や歯学に触れた事がない人はやらない方が良いです。

力の加減を間違えると歯が折れます。し、滑った時に歯茎や口の中に刺さったりしたら大ケガをさせてしまいます。

スケーラーで歯の表面をガリガリ削ったまま、その後の処置(上記の5)をしていないデコボコ細かい傷がついた歯というのは、余計に歯石が付きやすい状態ですので、やる意味がないどころか「やらない方が良い」って、「一番良いのは歯石をつけないことですから真逆の行為になります」と獣医さんがハッキリ言っていました。

スケーラーを使ってでもとってあげたい歯石があったら、「獣医さんにとってもらう」これ一択です。

そして、「あまり効果がない」と言われている歯磨きシートですが、知人の家では「今まで全員これしかしてない。しかも時々だけだけど。でも誰も口のトラブルはない。」って、3才の子も7才の子も、歴代の子も綺麗なお口を保っている様子を見せてもらった事があります。

あとは、我が家でも、知人たちの間でも「うちも使ってる」って定番なのは「げんきいたちの【歯石予防】フェレットの口腔けんこうスプレー」です。

まとめ

結局ですね、いつも言っている事なのですが、「定期健診に行く」「獣医さんに相談する」ことが一番なんです。

効果がないと言われている歯磨きシートで、いや、それどころか「口の中のケアなんてこれまで特に何もした事がない」ってお家でも、一生、お口のトラブルなく過ごせる子もいれば、あれこれしたけど2回もその手術が必要になったさすけもいて、「体質」ってみんな違うから、「お口の中の状態」も「そのタイミング」も「その子に合った方法」もみんな違いますからね。

もちろん、「良いと言われていること」は何でもしてあげたいその気持ちは分かります。

が、それが本当に良いことなのか、それだけは、きちんと調べてからでないと、せっかく「我が子のためにやってあげた」ことが、単なる自己満足で終わってしまう…どころか、大切な我が子の体を痛めつける行為になってしまっている場合がありますから、それだけはくれぐれも気を付けてあげて下さいね。

追記 令和6年1月22日

農林水産省のホームページが令和6年1月15日に更新されました。

問3 歯石除去に資格が必要ですか?

飼育動物の診療の業務は、獣医師でなければできません。
スケーラーを用いる歯石除去は、獣医師の獣医学的判断及び技術をもって行う診療行為です。歯石が気になる場合は、獣医師にご相談ください。なお、歯垢を除去する目的でブラシやガーゼ等を用いる歯磨きは一般的に診療行為ではありませんが、口腔内に傷がある等の場合は獣医師にご相談ください。

抜粋 農林水産省『小動物獣医療等に関するよくある質問』

それが無麻酔のよる施術であっても「スケーラーを用いる歯石除去は診療行為とする」と法律で定められました。

診療行為は獣医師以外は行えません。

健やかなニョロニョロ生活を☆彡

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